私は週に数回、桐朋音大声楽科の授業にピアノを弾きに行っていますが、今年はとても楽しい授業に参加させて頂いています。
塩田美奈子先生のスペイン歌曲演習

、鵜木絵里先生のミュージカル講座

、そして加納悦子先生のドイツ歌曲演習

です。いずれも後期のみの短い期間なのですが、それだけに毎回濃い内容で授業が行われています。
メーリケを再開する前に、ドイツ歌曲演習の今期の課題を訳してみようかなと思いたちました。授業で弾く前に訳しとかないとね。

まず来週の授業で歌われる予定のものを紹介します。
Franz Peter Schubert シューベルト
Der Hirt auf dem Felsen 岩の上の羊飼い D.965
Wilhelm Müller ヴィルヘルム・ミュラー
Wilhelmina Christiane von Chezy ヴィルヘルミーネ・フォン・シェジー
Wenn auf dem höchsten Fels ich steh',
In's tiefe Tal hernieder seh',
Und singe. ぼくが一番高い岩の上に立って
深い谷を見下ろして
歌うと
Fern aus dem tiefen dunkeln Tal
Schwingt sich empor der Widerhall
Der Klüfte. はるか深く暗い谷間から
深淵のこだまが
高く響き返る
Je weiter meine Stimme dringt,
Je heller sie mir wieder klingt
Von unten. 僕の声が次から次へ迫りくると
その声はいっそう明るく
下からこだまし鳴り響く
Mein Liebchen wohnt so weit von mir,
Drum sehn' ich mich so heiß nach ihr
Hinüber. ぼくの恋人はとても遠くにいる
だから僕は遥かなる彼女に
熱い思いを抱くんだ
In tiefem Gram verzehr ich mich,
Mir ist die Freude hin,
Auf Erden mir die Hoffnung wich,
Ich hier so einsam bin. 深い悲しみに僕はやつれ
よろこびは去ってしまった
この地上から希望はなくなり
ぼくはここで本当にひとりぼっちだ
So sehnend klang im Wald das Lied,
So sehnend klang es durch die Nacht,
Die Herzen es zum Himmel zieht
Mit wunderbarer Macht. その歌は憧れにもえて森に響く
憧れにもえて夜通し響くのだ
その響きは心と心を天上へ導いてゆく
不思議な力でもって
Der Frühling will kommen,
Der Frühling, meine Freud',
Nun mach' ich mich fertig
Zum Wandern bereit. 春が来るだろう
春、ぼくのよろこび
今やぼくは整えた
旅に出る支度を
「冬の旅」の詩人ミュラーの詩と、「ロザムンデ」の女流台本作家シェジの詩(第5,6節)をくっつけて最後の節はシューベルトの自作のようです(ちょっと自信ないのでもうちょっと調べてみます)。
クラリネットとの三重奏、大人になったハイジの歌みたいな感じです

前奏がちょこっと欠けていますが。
Der Hirt auf dem Felsen