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猫とワタシ

おと と おと と

~ピアニスト朴令鈴*音音(おとね)工房~

この記事のみを表示する日本歌曲研究会

訳詩その他

二期会には研究会というものが色々ありまして、何度かご紹介したバッハ・バロック研究会のほかに私は日本歌曲研究会というものに所属しています。今日は月一回の例会があり、当研究会では毎回ゲスト講師をお招きし3時間の公開レッスンを行います。
今日の講師は釜洞裕子先生。長くドイツで活躍されていましたが、今は東京音大の教授でいらして、日本のトップ歌手です。先日の二期会公演シュトラウスのカプリッチョでも素晴らしい歌と演技で魅了してくださいました。
私にとっても憧れの演奏家で、今日久しぶりに先生にお会いしたのに緊張しちゃってシ、シ、シドロモドロにな、な、なってしまいました・・・
先生がちょろっと「素敵な春に逢いました~」と歌うと会場が春の暖かさに包まれるし、「さびしいことに慣れてしまった」と歌うと胸がキュンとするし、「遥かな遠い~」というと東京文化会館大ホールにいるみたい、「ちるちるちる 風に~」桜の花びらが舞い降りて、「あわれ 今いくたびめぐりあふ命なるらん」心が揺り動かされました。

(さて今日歌われた5曲がこの歌詞でわかった方、日本歌曲検定3級を差し上げましょう!)

では今日の一曲。

たんぽぽ
中田喜直 作曲
三好達治 作詞


たんぽぽ
たんぽぽ
なが咲けば春の風ふき
青き霞は丘をこめ
小鳥らは木の間にうたふ
のどかなるかかる佳(よ)き日の
路(みち)のべに咲けるたんぽぽ
たんぽぽ
年ごとになれは咲けども
その春にわれはいくたび
あわれいまいくたびめぐりあふ
命なるらん
たんぽぽの花



春の歓びと、その春をあと何回迎えられるのか、限りある命を想う、そんな詩です。

毎年桜の季節にこのような想いにとらわれます、あと何回桜を見るのだろう・・・


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この記事のみを表示する日本の笛より

訳詩その他

今日は神楽坂の音友ホールでちょこっとだけ伴奏。
曲は平井康三郎作曲、北原白秋詩 「日本の笛」より5曲

~「祭りもどり」・「親船小船」・「あの子この子」・「ぬしは牛飼」・「びいでびいで」

1.祭りもどり
 
 祭りもどりに
 お月さんにはぐれ
 あたしゃ お母ちゃん
 恋の闇

お祭りは男女の出会いと睦み合いの場。お月さんが雲に隠れた隙に人気のないところに二人で来ちゃって、嗚呼おかあちゃん、どうしよう、もう止められないこの胸の高ぶり

3.親船小船
 
 沖の大船
 ありゃ 親船よ
 見やれ ゆさりとも
 帆は揺れぬ

 おいら 子伝馬(こでんま)
 まだ親がかり
 いろのろの字の
 櫓も持たぬ

「子伝馬」は親船と岸を行き来する小船のこと。「いろのろの字~」は色事の「ろ」の字も知らない若造、「ろ」と「櫓」をかけてます。
「船に乗る」というのは「女に乗る」(あっさり読みすごしてくださいね!)みたいな意味もありまして、ま、そういう風にも解釈できるかな・・・と。

5.あの子この子

 あの子もとうとう 死んだそな
 嫁取り前じゃに なんだんべ
  蕪(かぶら)畑にゃ鰯がはねる
  お墓まいりでもしてやろか

 この子もとうとうおっ死んだ
 嫁入り前だに なんだんべ
   花は馬鈴薯(じゃがいも) うす紫よ
   鉦(かね)でも叩いて行きましょか

 どの子もどの子も なんだんべ
 色事ひとつも知んねえでな
   小芋はどっさり 殖えたによ
   かわいそうだよ まったく なあよ

村の若者の死を嘆く老人の歌。
第1連の「蕪畑にゃ鰯がはねる」というのは、畑に肥料としてまいた獲れすぎた鰯がピンピン跳ねているのを見て、あんな風に元気な若者だったのに・・・という意味らしいです。
第2連は花盛りを迎えた娘のこと、第3連は畑にはたくさん小芋ができたのに、お前たちは「いろのろの字」も知らん若さで死んじまうのかい・・・という無念を歌っています。

7.ぬしは牛飼い

 ぬしは牛飼い
 笛吹き上手
 いつも横眼に
 見て通る

 見やれ 水甕(みずがめ)
 黄八丈(きはちじょう)の羽織
 わたしゃ 頭も
 濡らしゃせぬ

先の「祭りもどり」とこの「ぬしは牛飼い」は、白秋が八丈島で生活した中から生まれた詩。
「ぬし」とは「あなた」の意で、牛飼いのきみ、上手に笛吹いて私たちが水汲みしてる所を通るけど、いつも横眼でちらりと見てるでしょ!?でもそんな笛と流し眼なんかで、水を満たした甕を運ぶ頭も、私の心も濡れやしないわ!

8.びいでびいで


 びいでびいでの
 今 花盛り
 紅いかんざし
 暁(あけ)の霧

 びいでびいでの
 あの花かげで
 なんとお仰った(おしゃった)
 末(すえ)かけた

こちらは小笠原の風景。「びいでびいで」はブーゲンビリアの事で、「亜熱帯に咲く燃えるような紅い花で、木の梢に房状につくはなが島娘の花かんざしのように美しい」と作曲者が注記をつけています。
「暁の霧」とあるからには夜明けの頃に何かがあったのでしょう。その時あの花かげであなたはなんと仰いましたっけ・・・末は夫婦と誓ったわよね・・・
終わってしまったけど思い出すほどに甘い恋の想いが、とても愛らしいメロディーで書かれています。


今日は5曲でしたが全部で21曲あります。
小唄、狂言、追分節・・・日本情緒あふれるとても楽しい曲集です。
お聴きになりたい方はこちらのCDをお勧めいたします!
平井康三郎歌曲集~日本の笛~ TRK-108~9 2枚組 全50曲 税込5,000円  vo 関 定子・pf 塚田佳男
後にも先にもこれ以上の演奏はないでしょう

この記事のみを表示するバッハ BWV56-1

訳詩その他

最後の一曲はバスのソロ・カンタータから。

J.S.Bach: Kantate BWV56 "Ich will den Kreuzstab gerne tragen"
バッハ:カンタータ第56番 「十字架を勇みて負わん」 より

1.Aria                       
1.アリア

Ich will den Kreuzstab gerne tragen,
十字架を 勇みて 負わん 
er kömmt von Gottes lieber Hand.    
主の み手より 受くれば
Der führet mich nach meinen Plagen 
なげき おわり わが 至るは
zu Gott in das gelobte Land.      
主の めでたもう みくに
Da leg ich den Kummer auf einmal ins Grab,
重荷を かしこに ほうむり
da wischt mir die Tränen mein Heiland selbst ab. 
涙を 主は ぬぐいたもう   
          
詞訳:大村恵美子

「十字架カンタータ」とも呼ばれるバスのソロ・カンタータ(最後のコラール以外はバスのソロ)。
三位一体節後の第19日曜に朗読されるためのマタイ伝第9章1~8節は、病を治したイエスの奇跡を描いた物語で、その第1節の「さて、イエスは舟に乗って海を渡り、自分の町に帰られた」を基に歌詞は書かれているが作詞者は不明。

BWV56-1

この記事のみを表示するバッハ BWV34-3

訳詩その他

もう一曲は以前に紹介した34番です。
記事を書き直したので、読み直して頂ければ幸いです。

BWV34-3

この記事のみを表示するバッハ BWV208-9

訳詩その他

同じく31日に演奏する曲です。

J.S.Bach: Kantate BWV208 "Was mir behagt, ist nur die muntre Jagd"
カンタータBWV208 『楽しき狩りこそわが悦び』 
~狩りのカンタータ~ より


9. Aria (Pales)
第9番アリア(パレス)

Schafe können sicher weiden,
羊らは安けく草はむ、
Wo ein guter Hirte wacht.
良き牧者のありて見守るところ。
Wo Regenten wohl regieren,
統べ治むる者 よく治むるところ、
Kann man Ruh und Friede spüren
安息と平和の影は著けく、
Und was Länder glücklich macht.
国々をうるおす幸の光ぞ さやけし。

歌詞訳:杉山好


通称「狩りのカンタータ」、
ザクセン=ヴァイセンフェルスの領主であったクリスティアン公が自分の誕生日の祝賀行事として狩りの競技を催し、その祝典行事のハイライトにこのカンタータが演奏されたそうです。
古代神話の4人の神様が「喜びの捧げもの」を献上するという筋立て。

狩りと月の女神ディアナ(ソプラノ)
ディアナに愛され不老不死のとわの眠りの中で夜ごと女神の口づけを受ける羊飼いエンデュミオン(テノール)
山野や森を支配する牧羊神パーン(バス)
山地によき牧草地を備え、家畜を疫病や野獣から守る野の神パレス(ソプラノ)

のんびりとした平和な優しい曲です。
BWV208-9